掲載記録 


1991 シティふなばし11号



撮影/田中雅 
 緋衣汝香優理(ひいなかゆり)さん。彼女の職業であり、趣味である人形制作。
 女子美術大学出身の彼女は、油絵で主に人形を描いていたが、自分の描きたい人形がなかなか手に入らず、それならいっそ自分で作ってみようと、絵を描くために人形を作り始めた。しかし、絵を描くことよりも人形の魅力に取り憑かれてしまった。
 彼女の作品は非常に独創的であり、異様な雰囲気を醸しだし、作品を見ている側が圧倒されてしまう。最初に作品を拝見させて頂いた時、私はなんとなく恐かった。と思えば非常に可愛らしい眼でこっちを見つめているような作品もあったりする。これはどちらとも彼女の色であって、どっちかが偽物だというわけでもない。

人形1体の制作にかかる日数は数カ月。モデルがいたり、写真があったりする時は写実的な作品になるが、大半の場合、頭の中だけで構想を練る。その時の気分、考え、心の動きなどで作品が変わってくる。
 写真でもわかると思うが、眼球から歯まで入れてあるのには驚かされる。体長は60〜70cm位が主なものだが、大きくなると120cm位にもなる。
 これまでに40体程の人形を制作してきたが、これから人形が増えていくにしたがって、保管場所が最大の悩みだそうだ。

 緋衣汝さんの個展が10月、5年ぶりに青山で開かれる。来館者の多くは比較的若い人が多いそうである。中にはちょっとのぞいたとたん、びっくりして逃げるように帰る人もいるという。ぜひ1度御覧下さい。



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