DFJ 18号 REVIEW p6
「人形譚」 伽井丹彌人形展 六花亭ギャラリー(北海道帯広)
「まず、表現したい自分があって、人形があった」伽井もまたそんなナルシスティックな動機で制作を始めた。ところが自分、自分と云ってきた自分が近頃少し恥ずかしくなりましたと、最近の地元のテレビ局のインタビューで述懐している。「人にも目がいくようになりました...」 今回、珍しく男子の人形を発表した動機もそのあたりにあるらしい。ほぼ等身大の男女の人形が衣装を付けず、広い会場に置かれている。あとは伽井の人形を撮影した、写真家や映画監督の映像作品で構成されている。自分の作品を他人の目に委ねてみるのも先程の動機に一致する。 会場は、地元帯広では著名な製菓店の現代的な空間。帯広だけではなく、道内における人形文化発信の第一人者として、近頃の伽井の地元での活躍はめざましい。人形学校への上京以来、時には短期間の東京暮らしを重ねてきたが、現在では、「東京、東京と云わなくなりました」という心境と察せられた。(青山恵一)
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