DFJ 15号 REVIEW p6
人形譚〜伽井丹彌 人形展
京都昔人形青山/K1
京都では6年ぶり、2度目の人形譚シリーズである。今回のテーマは、エンジェリック・トランスミューテーション〜天使的身体変化ということで、もっとも伽井らしい練塑粘土の120cmの大型の人形たち3体の後に、ギャラリーテラスの中空を、天使の人形たちが浮遊した。 人間に近いはずの頭身の人形が天使に見え、背中に羽を持つ天使の方こそが余程、人間的な表情をしたパラドックスに最初、観客は戸惑うが、それこそが伽井の思惑であったのかもしれない。 1984年から早くも独自の人形世界を形成してきた伽井自身、背中に羽を持った人である。人形を介しての幾多の舞踏や映像とのコラボレーションは、活動する帯広という北の街での小さな話題に終わることなく、まさしく人形が持つ一つの可能性を提示している。そのことを9月5日に催された伽井の人形をモデルとした首藤幹生氏のフォトキネマと、映画監督、山田勇男氏の8mm作品を上映する、「Dollwith
Video
Party」に参加した観客の熱気が教えてくれた。そして昨年の東京展に続いた今回の京都での展示を区切りとして、伽井の羽はまた、新たな飛翔へ向かうと予感させた。(青山恵一)
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